「代役の代役」で終わらない――。
そんな宣誓に聞こえた。
プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの新たな抑え、鈴木翔天(そら)投手が5日のロッテ戦で九回を締めてセーブを挙げた後、決意を表明した。
「ああいうところで投げるために練習していたので、1年通して(抑えの座を)守れるような投球をしていきたい」
昨季のセーブ王・則本昂大は不振が続き、代わりに最後を任された藤平尚真も2軍落ち。そんな急場で重責を託されたのが、プロ7年目の28歳、鈴木だった。
ドラフト8位入団から、ここまで駆け上がってきた。
鈴木は遠くを見つめるようにして振り返る。
「大学4年生のとき、(ドラフト指名に)かかるかな、みたいな感じだった。最後、(楽天が)ギリギリで拾ってくれたので、宮越さんには感謝しています」
「宮越さん」とは、中日などで投手を務め、当時、東北地区の担当スカウトだった宮越徹(あきら)さん(現・球団チーム戦略部副部長など)だ。
鈴木は3年生の時、春秋の全国大会で活躍して、ドラフト候補として騒がれた。
だが、4年時は左ひじを痛めたため、本来の調子ではなかった。
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宮越さんは鈴木の密着マークを続けていたが、結果が伴わない試合の後は半信半疑になったときもある。
ドラフト会議向けの調査書は、鈴木のもとに12球団のほとんどから届いていたというが、楽天以外の球団は指名を見送るのでは、とのうわさも流れていた。
それでも、宮越さんは自らの目利きを信じた。
「3年時の投球をビデオで見ている限り、ドラフト上位で指名されるピッチャー。けがの状態が良くなれば絶対、プロでやれる」
2018年のドラフト会議の…